当院は心臓病、カテーテル検査・治療、人工透析の専門病院です。

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医師が教える! 病気と治療

慢性腎不全と透析 2016年07月号

腎臓が悪くなるってどういうこと?


記事提供 久保医師
皆さまおわかりの通り、人間生活をしていく上で、食事、水分摂取は欠かせません。 食事から栄養分を吸収し、体にとって必要のないものを老廃物として尿と便により排泄します。

水分に関しても、体にとって必要な分だけ取り込み、余分なものは主に尿として排泄します。

腎臓の主な働きは、体にとって不要となった老廃物や水分を尿に作り変え、排泄することです。

腎臓が悪くなってきたと健康診断や病院の採血で言われることがあるかもしれません。主にこれらふたつの働きが弱くなってきていることを意味しています。これは大変です。

しかし、初期の段階ではなんとなく皆さまにとってはピンとこないかもしれません。それもそのはず、腎臓は沈黙の臓器で初期の段階では自覚症状はありません。

腎機能が廃絶して、最後の最後にならないと症状は出ないのです。

慢性腎不全の原因治療と透析

腎不全の原因として最も多いのは、糖尿病や高血圧など生活習慣病です。

全身の動脈硬化に伴って腎臓を栄養している血管も細くなり腎不全が進行するのです。また、一旦慢性腎不全(おおよそ60%以下の腎機能)となるとそれ以降進行を完全に止めるような治療薬は今のところありません。

進行をゆっくりにする為に動脈硬化疾患(糖尿病、高血圧、高脂血症、高尿酸血症、肥満症、喫煙、飲酒)に対して医学的に介入(生活指導、食事指導、運動、薬剤)するしかありません。

また、動脈硬化疾患がなくても、腎臓に突然炎症を起こしたり全身の免疫異常(自己免疫性疾患)などにより蛋白尿・血尿がでて、場合によっては腎不全となることもあります。

手を尽くしても、どうしても腎機能の代替療法が必要となる方がおられます。血液透析、腹膜透析、腎移植などです。

当院で行えるのは血液透析のみです。週に3回、毎回約3から4時間、老廃物・余分な水分を除去する透析を受ければ、透析以外の時間帯は基本的に健康な方と変わりません。ゴルフ、ボーリングなどをしている方もおります。

時として透析により倦怠感を生じたりする方もおりますが、その場合は病院スタッフと相談することで解決できる場合もあります。

何より腎不全にならないに越したことはありません。

健康診断で、生活習慣病、腎機能低下、蛋白尿などを指摘された方は、必ず病院を受診するようにしましょう。