当院は心臓病、カテーテル検査・治療、人工透析の専門病院です。

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今月のトピックス

看護部 2016年09月号

心不全の管理について学びましょう

1.心不全ってなあに?

心不全とは、何らかの原因によって心臓の収縮・拡張と言うポンプ機能が低下して、全身の臓器に必要な血液を十分に送ることができなくなった状態です。



2.心不全の原因になることは

心不全を起こす原因はさまざまあります。

<心不全を起こす病気>
心筋梗塞 心肥大(特に高血圧性)心筋症 弁膜症 不整脈 高血圧や糖尿病などの基礎疾患の管理不足

また、上記の疾患などで心臓の機能が低下している人が、薬の飲み忘れ、水分の摂りすぎ、過労などの要因で悪化します  。



3.心不全の症状は

①おしっこの量や回数が減る。
②全身がだるくなる。
③体重が急激に増加する(2日で3㎏以上)。
④呼吸困難や息切れ(最初は坂道や階段の昇り降りで自覚します)。
⑤むくみ(はじめは足からむくみ、徐々に体や顔がむくみます)。

◎症状を自覚したり前より強くなったときは、我慢せずに早めに医師の診察を受けましょう 。



4.心不全の治療

①心不全の原因となる病気の治療(カテーテル治療・薬物治療・手術など)
②心不全の治療
 ・薬による治療…心不全の症状を改善します
 ・医療機器を使用する治療…両心室ペーシング 補助心臓など
 ・手術    …バチスタ手術 心臓移植など
③日常生活の改善・管理



5.日常生活の改善・管理

①薬の管理
・医師の指示通りに服用し、自分の判断で中止しないようにしましょう。
・お薬が無くなる前に医師の診察を受けて薬が無くならないようにしましょう。

②休息について
・体が疲れた時は30分程度、自分が楽だと思う態勢で休息をとりましょう。

③運動について
・体力の維持、寝たきり防止のために、症状に合わせた運動をしましょう。
・少しきついと思うくらいの運動を、1日30分以上、週3日以上行えると良いでしょう。
・症状があって運動をすることができないときは、早めに医師の診察を受けてください 。



 <運動療法の効果>
  • 体力が付きます。
  • 筋肉が付き疲れにくくなります。
  • 呼吸がゆっくりになり息切れ感が減ります。
  • 心臓の動きが良くなります。
  • 免疫機能が改善され感染症にかかりにくくなります。
  • 運動することによって気持ちが晴れやかになります。
  • 血管が柔らかくなり手足が暖かくなります。
  • 寿命が延びます。
  • 自律神経が落ちついて動悸が減ります。
④食事の管理
  • 食事は1日3回規則正しく食べましょう。
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  • 栄養が偏らないように注意し、野菜もたくさん摂りましょう。
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  • 食べ過ぎには注意し、腹八分目を心がけましょう。
  •     
  • 間食はなるべく控えましょう
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  • 塩分が多い食事は体の中に水分を取り込みやすくするので、1日の塩分量は6gを目標にしましょう。
  •     
  • 塩分の代わりにレモン、酢、だし汁などを使用し工夫しましょう。
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  • 水分の摂りすぎは心臓の負担を増やし心不全の症状を悪化させます。医師から決められた水分量を守りましょう。
  
➄体重の管理

体が水分をため込む(心不全の悪化)と体重が増えます。毎日体重を測ることで「心不全の悪化」を未然に知ることができます。体重測定は家庭で出来る一番簡単な検査です。

<体重測定にあたっての注意点>

     
  • できれば毎日同じ時間、同じような服装で測ってください。服の重さや食事前後などの測定条件が違うと体重が変動し、目安にしにくくなります。
      朝起きておしっこをした後や入浴前がお勧めです
  • 測定した体重はノートなどに記載して経過を観れるようにしましょう。受診の時に主治医に見せると先生も助かりますよ。

適正体重 = 身長(m)×身長(m)×22

例)身長が160cmの人は…
 1.60×1.60×22=56.3kg  56.3㎏が適正体重になります。

⑥血圧の管理

血圧目標値 = 130/85mmHg

◎血圧が高いと心臓の負担になります。できれば毎日測定しいつもの値を知っておきましょう。

<血圧測定にあたっての注意点>
○測定時間は朝起きて30分安静後、昼ごはん前、寝る前の1日3回が良いですが、難しい場合は、毎日同じ時間に同じ条件で測定しましょう。
○測定した値はノートなどに記載して、受診時に持参しましょう。
○血圧計は腕で測るタイプをなるべく選びましょう。

 
⑦便秘予防

便秘になりトイレでいきむと血圧が上がり、心臓の負担になります。

  • 繊維の多い野菜や海藻類を多く取りましょう。
  • 下剤の使用を検討しましょう。
 
⑧禁酒・禁煙
  • お酒は水分とカロリーの摂りすぎになることが多いので、なるべく控えることをお勧めします。
  • タバコは血圧が上がる原因となるため禁煙しましょう。
⑨感染予防

風邪をひくことで心不全が悪化することがあります。

  • 外出から帰ったらうがい、手洗いを行う習慣を付けましょう。
  • 人混みの多いところへ出かけるときはマスクを着用しましょう。
  • 風邪が流行しているときの外出はなるべく控えましょう。
  • インフルエンザや肺炎球菌のワクチンを接種するようにしましょう。
⑩受診の継続
  • 定期的な受診を続けることによって、心不全の徴候を早く発見し治療を始めることで、入院をしなくても治すことができます。
  • お薬が無くならず、心不全が悪化しません。

<受診するにあたっての注意点>
 ○薬が無くなる前に、できるだけ決まった医師に受診してください。
 ○定期受診日にどうしても来ず、お薬が無くなってしまう場合は、必ず電話でご相談ください。
 ○症状を自覚したり、体重の急激な増加がある場合は、次の受診を待たずに病院を受診してください。

★心不全を悪化させないためには、患者さんご自身の管理が重要になります。
不安な事や分からない事があれば遠慮なく看護師に聞いてください。
私たち看護師は、患者さんが安心して生活できるようにいつでもサポートします!!!